自分に人生の岐路なんてものがあるとしたら、多分間違いなくあの時だ...
自分に人生の岐路なんてものがあるとしたら、多分間違いなくあの時だ。今ならあの時の自分に「やめておけ」と声をかける。まぁヒネている俺が、未来の自分の言う事を素直に聞くかどうかは分からないが、少しはマシになったんじゃないだろうか。
俺の目の前で能天気に男が笑っている。俺の手を取って、無駄に幸せそうに。悪い気はしないが、少しだけ悔しい。
俺はその顔を指で弾いて溜息を吐いた。そして弾かれたこいつは、額を撫でて不思議そうに首を傾げている。
「さっきからどうしたの?そんな顔して」
「昔の事を思い出してたんだよ」
「昔?」
「お前と最初に会った時の事だよ、ほら、お前が駅の隅でぶっ倒れてた」
そう言うと、無駄にきらきらしい笑顔でこちらを覗き込んできた。ついでに指の先を握られて指輪をなぞられる。
「懐かしい!そうだった、あの時はさー」
柔らかい声が耳を擽る。明るくて心地良い、万人に好かれる声音だ。
前はあんなに癇に障ったのに、今ではすっかり慣れてしまった。
そしてその声に語引っ張られる様に、俺は人生がこうなってしまったそのきっかけ、三年前の出会いについて思いを馳せていた。
今も昔もしがないサラリーマンである俺は、就職している事以外に取り柄が無い。その日も例外無く仕事だった。毎日同じ道を行き、同じ電車に乗る。通る改札も乗リ込む車両も全て同じ、何の変わり映えの無い平日の朝だ。
そんなお決まりの導線上、降車駅の連絡通路の隅、駅員にも早々発見されない場所に若い男がうずくまっていた。スーツ姿で明るい色の髪、磨かれた高そうな靴、見るからに自分とは異なるタイプ、いわゆる勝ち組とか言われる類の人間に見える。関わり合いになりたくないと目を逸らし、それを誤魔化す為に辺りを見回した。
周囲の通行人は俺と同じ様に大半が通勤中で、その男に目もくれない。俺もそれに倣って男の目の前を通り過ぎ、しかし何となく魔が差して立ち止まった。
「あー⋯⋯」
私だとこんな感じで書くかな
最初に結論、二人の恋愛の話であると示す
二人の性格を言動から大体推察出来る様にする
出会いを回想で始める様に誘導
最初に結論を書いてしまえば、その後の自己紹介が長くても何とかなるかな、と
あと最初のシーンはラストに再活用出来る
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