【春】 仕事は嫌いだ。朝は早いし夜は遅いし、大変だし、辛いし、...
【春】
仕事は嫌いだ。朝は早いし夜は遅いし、大変だし、辛いし、その上俺の要領というものは学生時代から壊滅的だし。
人助けはもっと嫌いだ。俺の大嫌いな面倒事である上に、仕事ではまだ少なくとも得られる、賃金というものが発生しない。
だから――だからその日、俺がソイツに声をかけたのは、本当にただの気まぐれだった。
「……大丈夫ですか?」
という感じで書き始めてみました。
じっくり二人の関係性が変わっていく様子を描きたい作品なのかなと(勝手に)考えて、季節の移り変わりと二人の関係性の変化をリンクさせたい
↓
春夏秋冬の連作短編集にしよう、書き出しを全て揃えることで統一感を持たせよう
と考え、「仕事は嫌いだ。」からはじめることにしました。(夢十夜の『こんな夢を見た。』的な感じです)
この後も考えてみました。
【夏】
仕事は嫌いだ。上司には怒鳴られるし、後輩には最近成績抜かされてバカにされるようになってきたし。
コミュニケーションも嫌いだ。嫌いというより、苦手だ。
「それって、俺とのこういうコミュニケーションも、ですか?」
ビールジョッキを思い切り傾けて中身を飲み干した目の前の男が、絡み声で尋ねてきた。もう頬が少し赤い。毎度のことだけどお前、酔うのが早いよ。
【秋】
仕事は嫌いだ。取引先の呆れた顔も、経理のまたミスですか、という目も、もう見飽きた。俺の心は完全に折れた。
「というわけでさ、転職考えてるんだけど」
「マジか、そういうことなら俺役立つかも!転職経験者としてアドバイスできることもあるかもだし」
最初に出てくるセリフを(敬語)→(くだけた敬語)→(タメ口)へと変化させていくことで、二人の距離感が少しずつ縮まっていることを描写したいと思いました。(願望)
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