オリジナルが0からの評価だとしたら、二次創作は既に100くらい評価値があります。本人の実力ではなく、土台の部分がもう全く違うんです。食事に行く時、定番の料理が並ぶ店と聞いたこともない国の料理が並ぶ店なら、当然定番の料理の方が需要はありますよね。それと同じです。
それから、二次創作をされる方が評価されることと、貴方の評価がふるわないのは全くの別問題です。オリジナルで評価されるためにはどうしたらいいか考えたことはありますか？周りに成功者、手本になる人はいませんか？そういう人の行い、技術を真似てみてください。劣等感は人を良くも悪くもします。あの人は評価されて良いなではなく、見てもらえるようにするにはどうしたら良いだろう？と思って行動してみてください。自分を高めることに夢中になれれば、貴方が同じくらいだと思っている相手は、実は貴方と何の関係もない気にするだけ無駄な対象だと気づけるはずです。

長くなりますが、なぜ「ズルい」と思ってしまうのかを書き出しました。
また、それは「ズル」ではないよ、ということも書きました。
トピ主さんが納得されるかどうかは分かりませんが、一読頂ければ幸いです。

■秩序とズル
例えば、あなたがラーメン屋さんAだとします。
近所には別のラーメン屋さんBがあります。
最近、ラーメン屋Bはラーメンだけでなく、流行りのタピオカをメニューに加えたところ、意外な組み合わせが話題になってお客さんが増えました。
タピオカだけでなく、ラーメンの売上も伸びたそうです。
ラーメン屋Bは更に新聞広告を打ったり、駅前でチラシを配ったりもしてみました。
すると更にお客さんが来てくれるようになりました。
それを聞いたラーメン屋Aのトピ主さんはこう思うでしょう。
「ラーメン屋ならラーメンの味で勝負しろや」と。

別にラーメンに限った話ではありません。
トピ主さんが二次創作＋一次創作で人気を得ている人を「ズルい」と思うのであれば、例えば流行りの異世界モノや転生モノの一次創作を描いている人も「ズルい」と思ってしまうんじゃないでしょうか。
トピ主さんが、流行に乗る人を「ズルい」と思うのは、トピ主さんの中にある「秩序」に反した行動をしている人を「悪」と感じているからです。

アナログで絵を描いている人の中には「デジ絵はCtrl+Zで戻れるとかズルい」という人がいます。
手書きでメモを取る人の中には「スマホで撮って済ませるとかズルい」という人がいます。

侍同士の合戦で、片方が夜に奇襲をかけました。
「卑怯者！正々堂々と昼間に真正面から挑んで来ないとは！」
奇襲をかけられた方は、正面切っての合戦こそが侍の作法だと信じているわけです。

味方の戦闘機が撃墜されました。
僚機はやっとの思いで相手の戦闘機を撃墜し、敵討ちをしました。
しかし調べてみると、敵の戦闘機は誰も乗っていない無人機でした。
「命もかけられないような卑怯者にアイツは殺されたのか…！」

こういった人たちはそれぞれ、自分たちが確立してきたやり方だったり方法論、即ち「秩序」がそこにはあり、自身の「こだわり」が強い人たちです。
このやり方が「正解」なのであって、それが「こだわり」なわけです。
だからこそ、そこから外れたやり方をしてる人たちを「なっちゃいねぇな」「実力じゃないよあんなの」と揶揄します。
そして、その「こだわり」を否定されると、自分自身をも否定されたように感じてしまいます。

確かに、秩序・ルールを破るのはズルです。
スポーツ大会で禁止されているドーピングをして勝ったら？
それは明確なルールで定められているわけですから、ズルですよね。
試験でのカンニングは？
インサイダー取引で利益をあげたら？
選挙で賄賂を送ったり貰ったりするのは？
それぞれ、禁止されていることですよね。
だから「ズルい」わけです。

では、二次創作や流行をダシに使うことは？
基本的には、誰も禁止していないはずです。
しかしトピ主さんは「ズルい」と感じてしまう。
それは他でもない、トピ主さん自身が二次創作や流行を「自身に対して禁止」しているからです。
または「二次創作に手を出したら負け」と考えているからです。
つまり自分の中の秩序、ルール、正義と照らし合わせた結果「ズルい」と感じてしまうわけです。
それはトピ主さんが頑固であり、同時に正義感が強いことの証でもあります。

正義感が強い人はこの「自分ルール」を無意識に相手にも適用してしまう人が多いです。
世の中は社会共通のルールと、個々人が持つ「自分ルール」の狭間で出来ています。
色んな「家庭のルール」と同じです。
食事が終わったら食器を流しに片付けるのがルールの家もあれば、そのまま食卓に置いたままで良い家もあります。
お小遣いが月に決められている家もあれば、ある程度は融通してくれる家もあります。
ゲームは１日１時間の家もあれば、やること終わってるなら寝る時間までは好きにして良い家もあります。

このように、判断基準やルールには人によってかなりバラツキがあるものもあるわけです。
それが多用な価値観であるわけです。
トピ主さんが「ズルい」と思うようなことでも、それは彼らなりに考えた戦略であったり、それぞれの異なる価値観や自分ルールなわけです。

■既知と興味
こっからは余談ですが…

トピ主さんは音楽を聞く人でしょうか？
路上ライブをやってる人たちがいて、よく分からないオリジナルソングばかり歌う人と、知ってるカバー曲も歌う人だったら、どちらにより興味を持ち、立ち止まって聞いていこうと思うでしょうか？

プレゼンや発表の基本でもありますが、つかみは分かりやすく受けやすい話からすることが鉄則とされています。
意外かも知れませんが、聴衆は「既に知っていること」にしかまず興味を持ちません。
「あぁ、知ってる知ってる」と思わせることでまず興味を惹き、そこから相手の知らないことを話すことで「え、そうなんだ」「知らなかった」と驚かせることが出来ます。

さて、ここまで書けばトピ主さんも大体お分かりかとは存じますが、これが「ファンアート」の強みです。
そして、それを呼び水にしているからこそ二次創作＋一次創作の人のオリジナル絵は多くの人に見てもらえるわけです。
ズルいか？
いいえ、戦略です。
勿論、ただ好きでやってるだけかも知れませんが…。

先述のラーメン屋でも、たまたま奥さんが「私もオリジナルのタピオカドリンクとか作って売ってみたい」と言っただけかも知れません。
もしかしたら息子が「ウチのラーメン屋ヤバいからさ、流行りのタピオカでも出しとけばお客さんも多少は増えるよ」と考えてのことかも知れません。
真相は分かりませんが、結果として「流行しているタピオカをメニューに加えたら既存のラーメンにも人気が出た」わけです。

絵を描く動機やモチベーションまでここで話題にするつもりはありませんが、自分が描きたいものが描ければ満足なのか、それともより多くの人に見てもらいたいのかでもスタンスは変わってきます。
生きていく上で食べられるだけの野菜が作れれば良い農家か、少しでも儲けたくて野菜だけでなく果物や米と麦の二毛作もやる農家なのか。

どちらが正解、とかはありません。
ただ「よそはよそ」と割り切るか、「そうやってるから上手くいってるのか。真似してみよう」と参考にするのか、どちらかになるんだとは思います。

そもそも"フォロワー"という母集団の性質が違うんだと思います。
二次創作のアカウントで一次創作を載せる行為を嫌う人は一定数います。版権ジャンルを撒き餌にしているようで心象悪いと感じる人は意外と多いです。そういう人は、二次創作さんが一次創作を載せるとフォローを外します。逆にいうと「二次創作さんの作品はジャンル問わず全部好き！」という人がフォロワーに残りやすいんです。

二次創作アカウントで一次創作を載せるという、ある意味嫌われやすい行為をすることでフォロワーの選別に成功してるんだと思います。トピ主さんのお言葉を借りると、件の人のフォロワーは「ズルしても見逃すどころかチヤホヤさえする囲いばっかり」なんです。そりゃあ何描いたって反応も多くなります。わたしはそれがなんだかアホらしくて、Twitterを辞めました(笑)しょうもない話で恐縮ですが、何か参考になるところがありましたら幸いです。