実銃の名前を出したり、実銃と同じ形状である場合に銃器メーカーがライセンス料を要求してくるのは現在のところはゲームと遊戯銃（エアガン）に限った話となっています。
ここでいうライセンスは「同型実銃の製造許可のライセンス」ではなく、「名称・形状の使用許可のライセンス」として説明します。

これには諸説ありますが…
元々は自動車メーカーがゲームに自社車種が登場する際にライセンス料を取っていたことから、銃器メーカーも同様に2010年頃からゲーム会社に対しライセンス料を要求するようになりました。
銃乱射事件の原因の１つが暴力的なゲームであり、そこに実銃と同じモデルの銃が登場するからだ、という風潮が強くなったからです。
であれば、ゲーム会社からライセンス料を取得することで「実銃と同じ名前／モデル」を減らすことが出来るのではと考えたのではないか、と。
実際、ライセンス料を回避するためにゲーム会社は工夫しており、実在しない銃を考えたり、名前や形状を変えることで対応しているところも多くあります。
ここでいう形状とは、主に銃の「刻印」のことだったりします。
またライセンス問題が発生するのは現代銃がほとんどのため、ヒストリカル系（第二次大戦）や未来系を舞台にすることで回避していることも多いです。
（そういったゲームが最近多いのはそのため。）

単に、銃乱射事件で銃が売れなくなったメーカーがライセンス料で小銭稼ぎをしている、という説もあります。
が、米国などは何か不幸な出来事がある度に自衛のため銃を購入する人が増える銃社会なのでそれは的外れだという話もありますし、銃器メーカーは米国だけでなく欧州にも多いですし、必ずしも米国だけの実情が全てではないという話も。

また民間用の銃器は商標登録されていることが多いため、それ故のライセンス契約である場合もあります。
特に日本における遊戯銃については1990年代から商標絡みでライセンス契約や訴訟といったやり取りが頻繁に行われるようになりました。
しかし軍用銃であれば商標登録はされていないことから、実銃と同じ形状・名前でもライセンス料が発生しないなどの理由で軍用銃モデルは積極的にゲームや遊戯銃で登場していたりもします。
例）ベレッタ社のM92は民間モデルのためライセンス契約あり、同社のM92F(M9)は軍用モデルのためライセンス契約なし

兵器に関しては、そのほとんどが軍用モデルであるためにライセンスなどの話を聞くことはあまりありません。
厳密に言えば、銃器・兵器の軍用モデルでも商標登録はされているのかも知れませんが、製造費用は軍事費つまりは税金から作られているため、またライセンスの所有者が銃器・兵器メーカーではなく国そのものが所有しているからかも知れません。
　
とまぁ理由はともかく、アニメ、漫画、小説に関しては銃器メーカーがライセンス料を要求してきた前例はありません。
アニメ、漫画で実銃描写があっても、ゲームに比べればさほど悪影響はないと欧米では考えられているからです。
映画・ドラマに関しては、使われるモデルガン、プロップガンを作っているメーカーが銃器メーカーに対して既にライセンス料を払っているか回避していることが多いです。
　
　
結論から言えば、銃器を創作で出して良いか悪いか？
良いです。

ただし、一部のミリオタから「それ間違ってるよ」という指摘がうるさいのも事実です。
創作に置いて「銃器兵器」「乗り物」「楽器」は素人が安易に手を出すと痛い目を見るとよく言われます。
もし触れるのであれば簡単な解説書でも良いので参考資料を読むなどされてからをオススメします。
例）
・ベースを担当しているのに持っているのがギター
・自動車の外見と運転席の描写が一致しない
・このモデルの電車はこの地区を走らない
・発射された弾丸に薬莢が付いている

創作において「架空だから」と許容できるものもあれば、「いやそれはないわ」というものまで色々ですが、そういった間違いが「知っていて敢えて架空のものとして描いている」のか「知らずに描いてしまった」のかではだいぶ違うからです。